変異により免疫障害を乗り越えるウイルス

 ウイルスはその増殖の過程で常に突然変異を起しています。インフルエンザウイルスはその上に同種の他のウイルスとの同一細胞での同時増殖の際に遺伝子を交換し、組み替え変異を起すことができます(図1)。このことにより大きく免疫の障害を乗り越えてヒトに感染を起すことができるのです。
 A型インフルエンザウイルスはこの特別な性質によりヒトに繰り返し感染することができるのです。抗原変異の獲得と社会での流行の関係を示したのが図2です。インフルエンザウイルスの遺伝子交換は動物界にも及びます。ヒトと同様にトリ、ブタ、ウマ等の動物に住み着いているA型インフルエンザウイルスが知られています。
 ヒトのウイルスはブタに感染します。トリのウイルスもブタに感染するので、たまたまブタの体内でヒトとトリのウイルスが同時に感染すると新しいヒトとトリのウイルスのハイブリドが生まれ、ヒトに大きな流行をおこします。つまり、自然界でカモのウイルスが水中に排泄され、この水を浴びたブタがカモのウイルスに感染し、同時にヒトのウイルスに感染するような自然環境があると考えられています。
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