動物とヒトの間を渡り歩くウイルス

 ヒトに感染するウイルスの中には自然界では動物の中におりたまたまヒトと遭遇する機会があるとヒトに感染するものがあります。その代表的な例は狂犬病ウイルスです。ウイルスは野性のイヌ、キツネ、アライグマ、コウモリ等の間に感染しており、たまたまこれらの感染野性動物に咬まれたヒトが感染するのです。日本では1957年以後国内の狂犬病の発生はヒトでも動物でも報告されていません。しかし、世界で狂犬病の発生のない国は日本の外にイギリス、オーストラリア、ノールウエイ、フィンランド等と少ないのです。先進国の欧米でもウイルスは野性動物の間に存在しているがワクチン接種のお陰で患者は殆どいません。米国ではスカンク、フラジルではコウモリ、欧州ではキツネの狂犬病感染が問題視されています。とくに欧州ではキツネの行動域が広く、キツネによる感染の拡大に悩まされています。これに対して発展途上国では人間社会に共生しているイヌによる被害が依然として多発しています。

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