第71話
 片手で31まで数える方法
 

 
「主な対象読者」
 小学生高学年を主な読者対象に,「片手で31まで数える方法」というタイトルの原稿を書いてみました。指を使って2進法について理解してもらうことを期待しています。
 
 
本 文 目 次
 
著者 田中 良和
 

 
 
第71話 片手で31まで数える方法
 
5本の指でいくつまで数えることができますか
 みなさんは片手で数をいくつまで数えることができますか?5本の指ですから、5まででしょうか?いやいや、折り返して10まで…と考えがちですが、今回、私が紹介する方法では、片手で31まで数えることが出来ます。
 
それぞれの指に数を与えます
 まず、以下のようにそれぞれの指に数を与えます。親指:1,人差し指:2,中指:4,薬指:8,小指:16(図A)。初めの親指が1で、人差し指は1+1=2、中指は2+2=4、薬指は4+4=8、小指は8+8=16と覚えます。
 
 ここで紹介する方法では、立てている指の数の合計で数を表します。例えば、薬指と親指が立っているときは、8(薬指)+1(親指)=9で9を表します(図B)。同様に、小指(16)と人差し指(2)と親指(1)が立っている場合は、16+2+1=19を表します(図C)。
 
 
 
 
数のかぞえ方
 上記のルールを踏まえて、数を数えてみましょう。0は全部の指が折れている状態(じゃんけんのグーの状態)です(図0)。
 
1は親指を立てた状態です(図1)。
 
次の2は、1に1を足すわけですが、すでに親指は立っていますし、親指は2本ありませんので、次の指、すなわち人差し指を立て、親指を握ります(図2)。
 
 
これは、普段の足し算で、1の位から10の位に繰り上がるのと同じことです。つまり、9に1を足すと、10の位が1になり、1の位が0になるのと同じわけです。3は、2(人差し指)に1を足すので、人差し指と親指が立った状態です(図3)。
 
 
4は、3(人差し指+親指)に1を足すのですが、親指はすでに立っていますし、人差し指も立っているので、上記の繰り上がりの要領で、次の指(中指)を立てて、人差し指と親指を閉じます(図4)。
 
 
次の5にするには、親指の分の1を足せばよいので、中指と親指が立った状態(図5)になります。
 
 
6にするには、5(中指+親指)に1を足すのですが、親指が立っているので、繰り上がって人差し指が立ち、親指を閉じます(図6)。
 
 
7は6(中指+人差し指)に1の分の親指を足すので、中指、人差し指、親指を立てた状態です(図7)。
 
 
8は、7(中指+人差し指+親指)に1を足すのですが、親指、人差し指、中指が立っているので、その先の指(薬指)に繰り上げます(図8)。
 
 
このようにして数えていくと、片手で31(16(小指)+8(薬指)+4(中指)+2(人差し指)+1(親指))まで数えることができるはずです。
 
10本の指ではいくつまで数えられますか
 5本の指を使って31まで数えられるならば、両手の10本の指ではいくつまで数えられるでしょうか?両手で同じように数えていくと、なんと、1023(512(左小指)+256(左薬指)+128(左中指)+64(左人差し指)+32(左親指)+16(右小指)+8(右薬指)+4(右中指)+2(右人差し指)+1(右親指))まで数えることが出来るのです!!10本の指しかないのに、1023まで数えられるなんと驚きではないですか?
 
コンピュータは二進法の応用です
 実は、このような数の表し方は、2進法と呼ばれる数の表し方で、コンピュータなどはこの方法で計算しています。指を立てた状態が1、指を閉じた状態が0で、1と0だけで計算するのです。2進法の世界では、0と1しかありませんから、1+1=2ではなく、繰り上がって、10になります。1のところに1を足す場合は、次の位に繰り上げていけばよいだけなので、難しい計算がいらないのです。このようにして、コンピュータは膨大な数の計算も一瞬でこなしてしまうことが可能なのです。
 
【参考文献】岩渕隆著,左右10指による2進法表現 −勘定可能範囲1〜1023−,ライフリサーチプレス
 
 
 
平成22年3月23日
著作者 田中良和(よしかず) 北海道大学

 

Copyright (C) 2011-2024 by Rikazukikodomonohiroba All Rights Reserved.