◆真菌毒素 [Mycotoxin(s)]

 かび毒またはマイコトキシンともよばれ、真菌がもっているヒトまたは動物に病変または障害作用がある成分を真菌毒素という。この毒素が原因でおこる症状を真菌性中毒といい、現在、およそ50種の真菌毒素が知られている。多くの真菌毒素は食中毒や癌の原因になる場合や真菌症の原因と考えられる場合がある。とくにかびに汚染された穀類、豆類などによる急性肝蔵障害の原因になるアスペルギルス属のアフラトキシン(aflatoxins)、嘔吐や下痢をおこすフサリウム属のトリコテセン毒素(trichothecene toxins)、黄変米による肝臓癌などの原因とされるペニシリウム属のイスランジシン(islandisin)、麦角菌(クラジセプス属)の麦角アルカロイドで、痙攣(けいれん)や壊死(えし)をおこすエルゴットトキシン(ergot toxin)、テングタケなど毒きのこ(担子菌類)のファロトキシン(phallotoxins)やアマトキシン(amatoxins)など重要な真菌毒素がある。また、ヒトの真菌病の一つカンジダ症の原因となるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)のカンジトキシン(canditoxin)や肺感染症の原因となるアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)のフミガトキシン(fumigatoxin)なども知られている。

関連 真菌
関連 アスペルギルス属
関連 ペニシリウム属