◆ベロ毒素 [Vero toxin(s)]

 ベロ毒素は本来、志賀赤痢菌がもっている出血性の毒素であるが、最近問題になった病原性大腸菌O157の毒素としても一般に知られるようになった。その由来は1962年に安村(日本)によって研究用の培養細胞としてアフリカ・ミドリザルの腎臓細胞が初めて培養され、その培養細胞はエスペラント語の緑色(verda)と腎臓(reno)を組み合わせてベロ(Vero)細胞と名づけられた。その後、志賀赤痢菌の毒素がこの培養細胞を溶かすことが判り、その毒素はベロ毒素とよばれている。それとは別に腸管出血性大腸菌O157もこの毒素をもっていることが判り、2種類のベロ毒素(VT1,VT2)が分離された。志賀赤痢菌の毒素はVT1であるが、致死量はVT2のほうがVT1より30倍強い。腸管出血性大腸菌がベロ毒素をもつようになった原因として、ベロ毒素の遺伝子をもつファージが大腸菌へ感染して、強い病原性を発現する大腸菌O157になったのではないかと考えられている。

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