◆バクテリオファージ [Bacteriophage(s)]

 細菌ウイルスまたは単にファージともいわれ、細菌を宿主にするウイルスで、細菌を食うものという意味である。1915年にF.W.トボルト(イギリス)と1917年にF.ドヘレレ(カナダ)によって独立に発見された。細菌への寄生に特異性があり、大腸菌や枯草菌のファージがよく研究された。
  ファージには細菌へ感染してその細胞内で増殖し、宿主の細菌細胞を破壊して多数の子ファージを放出する溶菌型と、細菌へ感染しても細菌の染色体と共存したまま細菌も生存し、DNAを複製するプロファージ(prophage)といわれる状態にある溶原化型がある。前者をヴィルレント・ファージ(virulent phage)、後者をテンプレート・ファージ(template phage)という。大腸菌のファージには2本鎖DNAをもつT-偶数系ファージや1本鎖DNAをもつφ×174などがあり、1本鎖RNAをもつf2ファージなどがある。近年、ファージその他の研究が基礎になって分子生物学へと発展し、現在、遺伝子の組替えなどのバイオテクノロジー(生物工学)に重要な役割をもっている。

関連 細菌
関連 ウイルス
関連 大腸菌
関連 枯草菌